【コンビニ経営の闇】セブンのおでん発注問題【割と当たり前】
先日ネットで、
「セブン本部を店舗オーナーが公取委に告発」といったニュースが話題になりました。
中でも「本部社員がオーナーの不在時におでんを無断で発注した」との告発に強い関心が集まっているようです。
一般的な感覚からいえば、「ほんとにそんなことあるの?」と思われるかも知れませんが、実際あります。
そしてそれは、おでんに限ったことではありません。
更にいえば、セブンに限った話でもない、ということです。
今回は僕がコンビニでアルバイトをしていた頃の経験を元に本部社員のあり得ない言動を記事にしていきます。
(あくまで僕の勤務していた店舗での出来事です。すべてのコンビニ店舗、本部社員がこれに該当するわけではありません。)
オーナーが不在時にしか来ない本部社員
コンビニオナーの勤務形態にもいろいろあると思います。
一日中店に張り付いているオーナー。
社員を雇って大筋の運営は社員に任せているオーナー。
そんな中で、本部社員はいつ頃やって来ていたかというと、決まって夜、オーナーが不在の時でした。
本部社員は、売り場巡回するなどしてアルバイトスタッフに清掃や商品棚のメンテナンスを指示したりもします。
ただやはりメインは、その日の売り上げの動向やお弁当やファーストフードなどの販売状況の確認でしょう。
そのうえで、発注数の増減などを行います。
本部社員は店舗では「SV」(スーパーバイザー)と呼ばれますが、このSVの一番の目的は「店舗の利益最大化」です。
「もっと売れるはず(SV感覚)」の商品を「そんなに売れるわけない(オーナー感覚)」レベルの個数で発注してきます。
もちろん売れることもあります。でも売れ残った末に廃棄されるものもたくさんあります。
オーナーは基本的に損をしたくないので発注には消極的ですが、
SVはどんなに売れ残っても身銭を切るわけではないので痛くも痒くもありません。
なので本部社員はオーナーの不在を狙ってやってきて勝手に発注数をいじって帰っていきます。
ただ、僕のいた店に来ていたSVは一応置き手紙を残して帰っていました。
「○○の理由で発注数増やしてます」みたいな感じですね。
時期的に売れるものは発注数を増やされがち
今回話題になっているおでんですが、「まだまだ残暑が残るこの時期におでん?」と思われるかもしれません。
実はおでんは真冬の寒い時期より、昼と夜の寒暖差が大きくなる初秋が一番売り上げが伸びるといわれています。
また、寒くなっていく時期におでんをアピールするためにおでんセールを行っているコンビニもあると思います。
実際セールの時期はおでんも割と売れるので、発注が増えるのも理にかなっているといえます。
一方でセール期間に合わせて大量に仕入れられたおでんの具材たちはセール期間に売り切れないと、セール期間中以外はほぼ売れないのでじわじわと廃棄期限が迫ってきます。
正直、おでんは商品に賞味期限の記載などがされているわけでもないので、煮込まれてしまえば賞味期限切れかどうかなんてわかりません。
いい加減な店舗であれば少々日にちが過ぎても売り場に出している店舗もあるかもしれませんが、結局は賞味期限前日に大量におでん鍋に投入されて売れずに廃棄されることになります。
このように時期的に売れそうなもの、
例えば土用丑の日のうなぎや、
節分の恵方巻などは本部の意向で発注数を増やしたりします。
でも結局あまって廃棄されることになります。
先日ファミリーマートがうなぎを予約販売のみにしたところ、
売り上げ数は昨年を下回ったが利益は増加したとの発表をしました。
つまり、どんなに売ってもそれを上回る廃棄を計上していたせいで赤字だったものが、
廃棄が減ったことで黒字に転じた、ということです。
これはフードロスの観点からも大変すばらしいことで、
もし「店舗の利益最大化」を狙うのであれば売る個数とともに、
廃棄の数をいかに減らすかに注目すべきだと僕は考えます。
くじ引きキャンペーンの闇
さて、ここまではセブンのニュースに絡めた僕の体験談を述べてきましたが、
ここからは少し脱線して僕とSVの発注をめぐる対決のお話をします。
よくコンビニで「○○円以上お買い上げでくじが引けて、その場で商品が当たる」なんていうキャンペーンをやっているのをご存知でしょうか?
お客さんに引いてもらったくじに商品が記載されていて、その商品をその場で引き換えてくれるというものなんですが、
店によって取り扱っている商品は異なるために、くじの対象商品で店舗取り扱いのない商品は新たに発注しなければなりません。
で、ここぞとばかりにSVは店舗にやって来て取り扱っていない商品を全部発注します。
僕はバイト時代飲料など複数の売り場の発注を含めた管理を任されていました。
店で取り扱っていないものは、
- そもそも納品していないもの
- いったん取り扱ってみたものの売れないから取り扱い中止したもの
があります。
前者に関しては過去の実績からしてうちの店では売れないだろうと判断したもので、
後者に関しては実際入荷してみたけど売れなかった(廃棄になった)ものです。
それを、「キャンペーンの対象商品だから」という理由で発注されると店側としては大変困ります。
なぜ困るかというと、売れる見込みのない商品を発注すれば廃棄になるリスクが高いです。
「でもくじで当たれば出ていくんだからいいんじゃない?」
と思われるかも知れませんが、通常500mlのペットボトル飲料だと1ケース24本入りですが、あたりの対象はせいぜい4本とかです。ものによっては1~2本のものもあります。
そんな本数のために1ケース仕入れるのは店にとってリスクでしかありません。
さらに、今売り場にない商品を仕入れるということはその商品の売り場をつくる必要が出てきます。
コンビニは毎週のように新商品の入荷がありますが、逆に取り扱い終了していく商品も毎週あります。そうやってバランスをとっているところに一気に大量に新規取り扱い商品が入ってくると売り場の確保も難しいです。
最悪の場合、売れているのに対象じゃないから売り場から撤去する、なんてことにもなります。
売れているということはニーズがあるということですから、その商品が売り場からなくなればお客さんを失いかねません。
つまりこのキャンペーンは店にとってはかなりリスキーなキャンペーンだということがおわかりいただけるかと思います。
さてそんなキャンペーンにかこつけて大量発注を仕掛けてくるSVに対して僕がとった行動は、「SVの発注を全部消す」です。シンプルですね(笑)
とにかくSVが帰った後に発注を全部やり直してました。
今考えるとバイトの分際で、とも思いますが、ただ一方的なSVのやり方に納得がいかなかったので戦っていました(笑)
SVは自分の発注が消されていて、それが僕の仕業だとわかると当然文句を言ってきます。
なので僕は、
「売れる見込みがないものは発注できない」
「入荷しても売り場がない」
「既存の売れている商品を撤去するような事態になればそれを買いに来てくれている常連客に迷惑がかかる」
などといって抵抗していました。
そしたらSVなんていったと思います?
「これは企業からお金貰って実施してるキャンペーンだから絶対発注しないといけないの!」
ですって。
知らんがな(笑)
その企業からのお金は誰が受け取っているの?
本部でしょ?
店舗にはくじで引き換えた分は売り上げとして入るけど、それを上回る無駄な発注を店舗側は強いられるわけです。
まさに本部都合で店舗側にリスクを強いる典型といえます。
ところで、
「くじで当たったのに対象商品がなかったら引き換えられないじゃん。どうすんの?」
と思われるかも知れませんね。
その辺も実は問題なくて、この時の当たりくじは商品の引換券なので他の店舗でも使えます。
なのでどうしてもその商品が欲しいということであれば、その商品を置いてある店舗で引き換えてもらうこともできます。
また、名前こそちがうものの、引換券と割引券は同じ取り扱いになるので、
買い物した金額から、その商品の金額分割り引くこともできます。
(ビール券もこれと同じ)
このように対象商品が店になくてもお客さんには迷惑をかけずに済むのです。
ではなぜSVはそこまで発注させようと躍起になるのかというと、
おそらくキャンペーンによる商品引き換えの実績を本部にチェックされているのだと思います。
実績が少なければSVは説明を求められますし、自身の成績にも関わるのでしょう。
ここでSVの一番の役割を思い出してください。
「店舗の利益最大化」です。
建前上はこうなっていますが、所詮SVは本部が一番儲かる方法をとります。
店にとっての利益はお客さんにいかに買い物をしていただくかに左右されますが、
本部にとっては、いかに店側の発注金額を上げるかで利益が決まるんです。
そしてそれがSV本人の社内評価につながります。
だからこそ、「本部社員はオーナーに黙って勝手に発注する」のです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本来オーナーに寄り添い、その助けになるべきSVが実はコンビニ経営にとって一番厄介な存在だとおわかりいただけたと思います。
もちろんすべてのSVがこういう人ばかりだとはいいませんが、
それでも会社の方針に背けないのがサラリーマンの心情だと思います。
おでん無断発注のニュースの中で「そういった事実は一切ない」と本部はコメントしていましたが、現場では日常的に行われている行為なんです。
バイトレベルでこんなに腹が立つんですから、
自分のお金で勝手なことされてるオーナーさんの心中たるや。。。
一刻も早くオーナーさんの働く環境がよくなることを祈っています。