【フードロス問題】コンビニの食品廃棄の裏側【バイト歴10年の元店員が告白】

最近ニュースなどでフードロスやその対策に関する話題を見聞きするようになりました。

 

コンビニでも賞味期限切れ間近の商品を値引きして販売したり、

付与されるポイントが多くなったりと各社が対策を始めています。

 

ですが、こういった対策は必要なことですが、

そもそもコンビニの食品廃棄のやり方そのものがかなり異常といえます。

 

今回はそんな世間にはあまり知られていない「コンビニの食品廃棄」にいついて記事にしていきます。

 

結論からいうと、

コンビニで廃棄される食品のほとんどは賞味期限が切れていない

ものばかりだということです。

 

この記事について

 

この記事では「コンビニでどのように廃棄が行われているか」を書いていきます。

この記事を読むことで、フードロス問題をより身近に感じてもらえると思います。

 

筆者について

 

僕は2店舗通算で約10年間コンビニでアルバイトをしてきました。

お客さんたちが知らないコンビニの裏側をみなさんに知っていただきたくて記事にしました。

 

目次

 

 

「廃棄=賞味期限切れ」ではない

 

食品にはどんなものにも原則として賞味期限が記載されています。

(賞味期限の記載は法律により義務付けられています)

コンビニのお弁当やおにぎりだと、「〇月☓日△時」といった具合に、

時間まで決められています。

 

コンビニはだいたい一日に3回の商品の納品があります。

その納品される時間によって賞味期限は異なります。

 

賞味期限が切れたら廃棄されると一般的には思われていると思いますが、

それは違います。

すべての商品は賞味期限が切れる前に回収されて廃棄されます。

 

これは間違ってお客様に期限切れの食品を販売してしまわないことと、

販売する食品の鮮度を一定以上に保つ目的があります。

 

僕のいたコンビニチェーンでは賞味期限の2時間前に回収、廃棄されていました。

 

廃棄時間をすぎるとレジ処理ができない

 

例えば18時に賞味期限をむかえるお弁当があるとします。

 

この場合、廃棄時間は16時です。

16時を過ぎると、そのお弁当はレジでバーコードを読み取った時にエラーとなり、

販売することが出来ません。

お客さんからすればまだ賞味期限が来ていないからいいように思われますが、

レジを通せないものは販売できないので同じものがあればそちらに交換、

なければ別の商品をまた選んでいただくことになります。

 

こうしたシステムで誤って賞味期限切れの食品を売ってしまうことを防いでいます。

 

そのお弁当はいつ食べる?

 

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あなたはコンビニで買ったお弁当やおにぎりをいつ食べますか?

 

朝、会社や学校に行く前にコンビニで買い物をしたとして、

それをすぐ食べる人もいれば、お昼ごはんとして食べる人もいるかと思います。

 

買った時は賞味期限切れではなかった。

でも食べる時には賞味期限切れてた。

 

これは正直お客さんが自分でいつ食べるのか、

その時間まで賞味期限がもつのか、

そこを確認して買っていただければいいのですが、

店側としては、万が一のクレームを考慮して昼食時に期限が切れるものは朝の時点で廃棄するようにしています。

 

弁当やおにぎり以外の食品

 

さて、ここまではお弁当やおにぎりといった、

「コンビニの商品」についてのお話でした。

 

ですが、コンビニにはその他にもお菓子やジュース、生鮮食品(野菜や果物)といった食品も扱っています。

今回の記事で僕が知っていただきたのは実はこれらの食品の廃棄についてです。

 

「保存がきく」食品

 

お弁当やおにぎりなどの食品はだいたい24時間程度で消費されることを前提とされています。

長くても2日置いておくことはないと思います。

 

ですが、スナック菓子やペットボトル飲料、缶飲料、デザート類などはある程度の期間店頭に置かれることを想定されています。

(ケーキなどの生菓子はこの限りではありません)

 

そしてこれらの食品もお弁当などと同様に「すぐに食べられない」ことを前提に廃棄時間が決められています。

 

同じ飲料でも缶と紙パックでは期限が異なる

 

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缶ジュースと、紙パックのジュースでは賞味期限が異なります。

当然廃棄時間も異なります。

 

実際どのぐらい違うかというと、

紙パックの飲料は賞味期限の5日前、

缶の飲料、あるいはペットボトルの飲料は賞味期限の30日前に廃棄されます。

 

デザート類とスナック菓子

 

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デザート類やスナック菓子も同様です。

 

プリンやヨーグルトなどのデザートは5日前、

ポテトチップスやチョコレートなどのお菓子は30日前に廃棄されます。

 

保存できる期間が長いものの方が早く廃棄される傾向にあります。

 

これもやはり、「お客様が買ってから実際に食べるまでの時間」を考慮してのことです。

 

「いつ食べるか」にこだわりすぎ

 

僕はコンビニに勤務していた10年の間ほんとに謎でした。

お弁当やおにぎりの廃棄時間はまあ理解できます。

お客さんが実際に食べる時間を想定して廃棄するのは一種の「気遣い」といえます。

 

でもジュースやお菓子はいくら何でも異常じゃないですか?

 

そもそもコンビニでジュースを買ったとして、いつ飲みますか?

ほとんどの人は店を出てすぐ封を開けますよね?

で、その日のうちに飲み切ると思います。

 

コンビニって、

「のどが渇いたから飲み物買おう」とか、

「お菓子食べたくなったから買いに行こう」とか。

そういう目的が決まった状態で行くと思うんですよね。

 

で、買うとだいたいすぐ食べるなり飲むなりすると思うんです。

 

1ヵ月以上家で放置されることを想定しないといけないのでしょうか?

 

「廃棄=捨てられる」という現実

 

どうでしょうか?

ここまでで、コンビニの廃棄の実態がすこしは伝わったでしょうか?

 

なかなかイメージしづらいかも知れません。

 

多分、実際に食べ物が大量にゴミ箱に投げ入れられているところを見ると、

「もったいない!」

と、言わずにはいられなくなると思います。

 

飲料は基本的に中身をすべて下水に流します。

 

ペットボトル飲料や缶飲料はめったに廃棄にはなりませんが、

紙パックのお茶やフルーツジュースなどは結構廃棄になります。

 

レジ後ろにあるシンクに、何リットルもの飲料を流して捨てるんです。

 

「これで何人のお腹が満たせるかな」って言いたくなるような量のお弁当やおにぎり、

パスタにパン、サラダ、プリンやヨーグルトなど。。。

 

廃棄するときは買い物かごに廃棄するものを回収していきますが、

紙パックのジュースだけでかごいっぱいになることもあります。

平均するとかご2つ分は毎日夜の時間帯だけで廃棄してました。

金額にすると1万円ぐらいです。

 

朝昼晩と合わせると1日3万円近く廃棄が出ていたと思います。

 

キャンペーンなどがあると更に増える

 

新商品や、割引の対象商品などは本部からの指示で多めに発注したりすることがあります。

僕が働いていたお店がリニューアルオープンしたことがあったのですが、

この時はパンをかなり大量に仕入れていて、値引きもしていたのですが、

大量に売れ残りました。

かご5つ分はあったと思います。

 

 

「人の行いとしてどうなのか」

 

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とてつもない罪悪感に襲われます。

でも、怖いもので慣れるんですよね。

 

当時バイトで入ってきた大学生が言ったひとことがいまだに記憶に残っています。

 

僕の勤務していた時間は20時から24時までだったんですが、

やっぱりお腹すくんですよね。

そんな時に一緒に入っていた大学生がいったひとことがこれです。

 

こんなにお腹すいてる時に食べ物捨ててる僕らのメンタルってやばくないですか?

 

その時はお互い笑っていましたが、

ほんとにそうですよね。

 

ごはんが食べられずにお腹を空かしてる人の前で食べ物をゴミ箱に投げ込めますか?

 

「まだ食べられる。でももう売れない」

 

優先するべきなのは、売れることより食べられることだと僕は考えます。

 

最後に

 

いかがだったでしょうか。

 

コンビニでは賞味期限を迎える前に様々な理由で、

まだ食べられる商品が捨てられていることを知っていただけたと思います。

 

「売れる分だけ発注すればいいじゃん」

 

たしかにそうですね。

その辺は売り場の見ばえのために大量に仕入れるようにするという本部の戦略もありますし、商品が少ないと残り物感がすごくて売れないというのもあって、

売れそうな見込み量より多めに発注してしまうところもあります。

 

某大手コンビニでは、

「売り切れは発注ミス。買えなかったお客様は満足させられなかったということ。」

と本部から指導されたりするそうです。

 

今後はフードロス削減のためにそういった部分も改善はされていくとは思います。

 

ですが消費者もせめて、お弁当を後ろの方から取ったり、

牛乳の賞味期限を1日でも新しいものを奥から引っ張り出したりせずに、

賞味期限が近いものを無駄にせずフードロスを減らしていけるように努力していくべきではないでしょうか?

コンビニは古いものが一番手前に来るように陳列しています。

「古い」といっても大した差はありません。

その古さを味で感じ取ることはまず不可能です。

 

フードロス問題を行政や企業だけの責任にせずに自分たちにもできることを考えるべきです。

 

日本には「もったいない」というすばらしい言葉があります。

 

食べ物を粗末にせず、「もったいない」の精神で食べ物を大事にいただきましょう。

 

 

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